そもそもファクタリングって何?
ファクタリングについて学ぼう!

1. ファクタリングの基本的な定義

ファクタリングとは、簡単に言うと、「企業が持っている売掛金をファクタリング会社に売って現金化」することです。法的には、債権譲渡(売掛金の売買)契約になります。

一般的に、企業間取引(BtoB)では、先に商品やサービスを提供し、後日、代金を受け取る(これが売掛金)形態を取っているため、現金化(売上)が遅れてしまいます。

ここでファクタリング会社が役立ちます。
ファクタリング会社は売掛金を即日現金化するサービスを提供します。売掛金を持つ企業は、ファクタリング会社に売掛金を売却(譲渡)し、手数料を支払う代わりに即日現金を受け取ることができます。

この売掛金を早期に回収することで、会社のお金の流れをスムーズにし、新たな投資に必要な資金を手に入れることができます。そのため、ファクタリングはただ売掛金を早く回収する手段でなく、企業が様々な財務上の課題に対処するための有効な手法となり得ます。

ファクタリングの具体的な手続きとプロセス

  • 1. 契約締結:売主(商品やサービスを提供する企業)とファクタリング会社が契約を結びます。この段階では、ファクタリングの条件(ファクタリング手数料、対象となる売掛金、回収期間など)が詳細に定められます。
  • 2. 売掛金の譲渡:売主は、取引先(買主)に対する売掛金をファクタリング会社に譲渡します。この段階では、売掛金の詳細なリストが提出され、ファクタリング会社がその内容を確認します。
  • 3. 買主への通知:ファクタリング会社は、買主に対して売掛金の譲渡を通知します。この通知は通常、書面で行われ、買主が支払うべき金額をファクタリング会社に支払うことを要求します。
  • 4. 売掛金の前払い:ファクタリング会社は、売主に対して売掛金の一部を前払いします。この前払いの割合は契約によりますが、通常は売掛金の70-90%程度が前払いされます。
  • 5. 買主の支払い:買主は、決められた支払期日にファクタリング会社に対して売掛金を支払います。
  • 6. 残額の支払い:買主からの支払いを受けたファクタリング会社は、前払いした金額を引いた残額を売主に支払います。ただし、この際にファクタリング会社は手数料を差し引きます。

ファクタリングの関係者(売主、買主、ファクタリング会社)について

  • 1. 売主:商品やサービスを提供する企業で、ファクタリングを利用して売掛金を現金化します。売主は、買主に対して商品やサービスを提供した後に生じる売掛金を、ファクタリング会社に譲渡します。
  • 2. 買主:売主から商品やサービスを購入し、その代金を支払う企業です。買主は通常、支払いを一定期間先延ばしにすることができます(信用期間)。ファクタリングが行われた場合、買主は支払いをファクタリング会社に対して行います。
  • 3. ファクタリング会社:売主から売掛金を購入し、その代金を一部前払いする企業です。ファクタリング会社は、売掛金の回収リスクを引き受け(リコースファクタリングの場合は売主と共有)、その対価として手数料を受け取ります。

2. ファクタリングの歴史と発展

ファクタリングの歴史的背景と進化

ファクタリングの原型は、古代ローマの時代にまで遡ることができます。
当時は「プロクラ」と呼ばれる商人が、農民から農産物を前払いで購入し、都市で販売することによって利益を得るという形態で行われていました。

近代的な意味でのファクタリングは、13世紀から14世紀のヨーロッパ、特にイングランドで商業が発展した時期に始まりました。特に繊維業で、製品を売りに出す商人(売主)が、商品の販売や債権の回収を代行するエージェントを用いることが一般的でした。

19世紀のアメリカにおいて、綿花業や製造業でファクタリングが広く用いられるようになり、その後、20世紀中頃からファクタリングは金融サービスとしての位置づけを強め、商業取引における財務管理手段として広く認知されるようになりました。

20世紀初頭には、特にアメリカでファクタリングが衣料品業界において盛んに利用され始めました。これは、製品の製造から販売までのサイクルが長く、生産者が資金を必要としていたためです。

第二次世界大戦後の経済発展とともに、ファクタリングはさらに多くの業界へと広がっていきました。特に、技術革新と金融業界の発展により、ファクタリングはより洗練され、多様化してきました。

日本でのファクタリングの発展と現状

日本におけるファクタリングの歴史は比較的新しいもので、1970年代後半から本格的に普及し始めました。それ以前は、主に銀行からの融資が主流の資金調達手段でしたが、銀行からの融資が厳しくなった背景や、借入先を多様化する必要性などから、ファクタリングが注目されるようになりました。

初期の頃は、大手の商事会社や金融機関が中心になって事業を展開していました。
しかし、2000年代に入ると、専門のファクタリング会社が増え、その活動範囲も徐々に広がってきました。

近年では、企業の資金繰り改善や短期資金調達の手段として、さらに多くの企業がファクタリングを活用するようになっています。また、中小企業やスタートアップ企業においては、銀行からの融資が難しい場合でも、売掛金を担保にファクタリングを利用できるため、財務改善や資金調達の手段として有効に活用されています。

これらの背景から、日本におけるファクタリング市場は拡大傾向にあり、様々な業種の企業で利用されるようになっています。しかしながら、ファクタリングはまだ全ての企業が十分に理解し、活用しているとは言えず、その普及と理解を深めるための啓発活動も引き続き重要となっています。
このように、ファクタリングは古代の貿易から現代のデジタル経済まで、時代と共に進化し続けてきた金融手法です。その発展の背後には、企業の絶えず変わるニーズと金融業界のイノベーションがあります。これからも、その発展と変化は続いていくことでしょう。

3. 二社間と三社間の違い

ファクタリングには、二社間ファクタリングと三社間ファクタリングがあるので、それぞれの違いについて解説します。

二社間ファクタリングとは?

二社間ファクタリングは、売主(売掛金を持つ企業)とファクタリング会社(売掛金を買い取る会社)の2つの企業が直接取引を行う形態を指します。この方式では、売主が直接ファクタリング会社に売掛金を譲渡し、ファクタリング会社が売主に対して資金を提供します。

取引の透明性が高く、買主(商品やサービスの受け取り者)がファクタリングの存在を知ることはないため、売主と買主の関係性に影響を及ぼすことはありません。しかし、ファクタリング会社が売掛先の信用を評価するため、信用情報の開示が必要となります。また、通常、二社間ファクタリングの手数料は三社間ファクタリングよりも高くなる傾向があります。

三社間ファクタリングとは?

三社間ファクタリングは、売主、買主、そしてファクタリング会社の3つの企業が取引に関与する形態を指します。この方式では、売主が買主に商品やサービスを提供した後、売主はその売掛金をファクタリング会社に譲渡します。そして、ファクタリング会社は売主に対して資金を提供し、後日、買主から直接売掛金を回収します。

三社間ファクタリングの主な利点は、ファクタリング会社が売掛金の回収リスクを全うすることで、売主は安心してビジネスを運営することができます。この方式は、信用力が低いと評価される売主にとって特に有益です。しかし、買主がファクタリングの存在を知ることになるため、買主と売主の関係に影響を及ぼす可能性があります。

どちらの形態を選ぶかは、売主のビジネス状況、財務状態、買主との関係など、多くの要素によって異なります。

4. ファクタリングの種類と特徴

ファクタリングには、「リコースファクタリング」と「ノンリコースファクタリング」の2種類が存在します。それぞれの特徴について解説します。

リコースファクタリングとは?

リコースファクタリングとは、償還請求権ありのファクタリング契約のことをいいます。
簡単に言うと「ファクタリング会社に売却した売掛金が、売掛先から入金にならなかった場合、その売掛金をファクタリング会社から買い戻さないといけない」という契約になります。

ファクタリング会社は大体、「銀行系」、「ノンバンク系」、「独立系」の3つのカテゴリーに分けられますが、銀行系やノンバンク系の会社は、このリコースファクタリングの契約を提案することがあります。しかし独立系いわゆる一般的なファクタリング会社でリコースファクタリングを扱っている会社はほとんどいないでしょう。

ノンリコースファクタリングとは?

ノンリコースファクタリングとは、償還請求権なしのファクタリング契約のことをいいます。
ファクタリング会社が利用者から売掛金を買い取る際、「売掛金が最終的に回収できなくなった場合でも、利用者はファクタリング会社に対してその買取金額を返済する義務がない」という契約になります。

ノンリコースファクタリングの契約では、ファクタリング会社が売掛金の回収リスクを全て引き受けます。つまり、売掛金を売った利用者は一度ファクタリング会社から資金を受け取った後は、売掛金が回収できなかったとしてもそれ以上の返済義務を負わないということです。

ノンリコースファクタリングは、特に売掛金の回収リスクを抑えたい利用者にとって有利な契約形態と言えます。特に経営が厳しい時期や、売掛先の信用状況が不安定な場合など、利用者がリスクを回避したいと考えるシーンで利用されることが多いです。

しかし、全てのリスクをファクタリング会社が負担するため、手数料がリコースファクタリングよりも高く設定されることが一般的です。そのため、ノンリコースファクタリングを選択する際には、そのコストと利益をしっかりと比較検討することが大切です。

リコースファクタリングの具体的な利用シーン

リコースファクタリングは、売掛先の信用状況が良好であることが明らかで、回収リスクが比較的低いと判断できる場合によく利用されます。この契約形態は、手数料が比較的低いため、企業の資金繰り改善や資金調達のコストを抑える手段として利用されます。また、中小企業や成長期のスタートアップでは、一定の資金調達を行いつつも、リスクを抑えるための選択肢として用いられることがあります。

ノンリコースファクタリングの具体的な利用シーン

一方、ノンリコースファクタリングは、売掛先の信用状況が不安定である、または回収リスクが高いと判断される場合に有利な契約形態です。特に経営が厳しい時期や、新規に事業展開を行う場合など、不確実性が高い場合には、企業は回収リスクをファクタリング会社に移転することで、そのリスクを軽減することが可能です。また、業績が不安定なスタートアップ企業や、新規顧客に対する取引などでも、ノンリコースファクタリングは有効な資金調達手段となります。

5. ファクタリングのメリットとデメリット

即日資金調達が可能で便利なファクタリングですが、当然メリットとデメリットが存在します。
メリット・デメリットについて詳しく見てみましょう。

【メリット】

即日現金化

ファクタリングの最大のメリットの一つは、即日現金化の可能性です。
通常、ビジネスでは、商品やサービスを提供した後、顧客からの支払いを待つ必要があります。この期間、企業は貴重な資金を売掛金の形で保持していることになり、その分資金繰りに影響を受けることがあります。
ファクタリングを利用することで、それらの問題が解消され、最短即日資金調達が可能になります。

自社の業績に関わらず資金調達が可能

ファクタリングは、利用者の信用評価や財務状況に依存せず、売掛金の額や売掛先の信用度に基づいて審査を行います。通常、赤字決算や支払いが遅れている企業だと銀行などの金融機関からの借り入れはなかなか厳しいかと思います。しかしファクタリングなら赤字決算や支払いが遅れている企業でも利用して資金調達を行うことが可能です。

決算書や信用情報に影響しない

ファクタリングは、いわゆる債権譲渡(売掛金の売買)契約のため、借入とは異なり、負債として利用者の決算書に記載されません。このため、財務比率を悪化させることなく資金調達が可能となります。さらに、ファクタリングは信用情報に影響を与えないため、後の借入や資金調達活動にネガティブな影響を及ぼすことはありません。

売掛先企業の倒産リスクの回避

ビジネスを運営する上のリスクの一つとして、売掛先の倒産等があるかと思います。
このような事態が発生すると、売掛金の回収が困難となり、企業のキャッシュフローに大きな影響を及ぼす可能性があります。

その点、ファクタリングを利用した場合、ファクタリング会社が売掛金の回収リスクを全て引き受けるため、利用者は、売掛先の倒産リスクを回避することができます。つまり売掛金が回収できなかったとしてもそれ以上の返済義務を負わないので、利用者は売掛金の回収に関する不安を解消し、安心してビジネスを展開することができます。このような安心感は、企業の資金繰りや運営において大きなメリットとなります。

【デメリット】

手数料が高い

ファクタリングの手数料の相場は、2社間ファクタリングの場合、安くて10%から高いと30%くらいかかります。3社間ファクタリングの場合は、2社間ファクタリングより安く1%〜10%くらいになります。
銀行やカードローン等と比べると、高めとなる傾向があります。したがって、利用前に手数料について詳細を確認し、コストとリターンをバランスさせる必要があります。

分割払いができない

ファクタリングは、債権譲渡(売掛金の売買)契約なので、売掛金が支払われたときに都度清算されます。これは、ファクタリングが融資とは異なる点であり、融資の場合には分割返済が可能であるため、支払い計画が立てられます。
一方、ファクタリングでは売掛金が全額回収された際にすぐに清算が行われるため、将来的な返済計画を立てることは困難となります。

しかし、これはファクタリングの性質上避けられない問題であり、利用者はこの点を理解し、ファクタリングの利用を適切に計画する必要があります。

売掛先が個人だと契約できないことが多い

ファクタリング会社の多くは、売掛先を法人のみに限定していることがほとんどです。
売掛先が、個人事業主やフリーランス、または個人(消費者)である場合には取引できないことがほとんどです。そうすると利用できる企業は、法人に対する売掛金を持っていない企業は、別の資金調達方法を検討する必要があります。

リコースファクタリングの具体的な利用シーン

ビジネスケース1:季節性の高いビジネス(例:イベント会社)

メリット

売上が一定期間に集中するため、その期間の資金調達が困難な場合、ファクタリングを利用して即日資金調達を行うことが可能です。これにより、資金繰りの負担が軽減され、事業をスムーズに運営することができます。

デメリット

一方で、ファクタリングの手数料が比較的高いため、そのコストはビジネスの利益を圧迫する可能性があります。そのため、季節性の高いビジネスでは、イベント開催等の期間中に売上が上がることを確信している場合にのみ、ファクタリングを利用することが推奨されます。

ビジネスケース2:新規事業を立ち上げるスタートアップ

メリット

新規事業を立ち上げる際には、初期投資や開発費用など大きな資金が必要となります。ファクタリングを利用すれば、自社の業績に関わらず資金調達が可能となり、新規事業の立ち上げを迅速に進めることができます。

デメリット

一方で、新規事業が赤字を出している場合や売掛金が少ない場合には、ファクタリングによる資金調達は限られてしまいます。また、手数料が高いというデメリットもあります。

ビジネスケース3:流動資産が多い製造業

メリット

製造業では、商品の製造には時間がかかり、それが売上に反映されるまでの期間、資金繰りが厳しい状況が生じることがあります。ファクタリングを活用すれば、売掛金を即日現金化できるため、キャッシュフローの改善に大きく貢献します。

デメリット

しかし、製造業は生産サイクルが長いため、ファクタリングを頻繁に利用すると、その手数料が経営に大きな負担となる可能性があります。また、売掛金が少ない場合や、製品の売上が予想よりも遅れると、ファクタリングによる資金調達が期待通りに行かない可能性もあります。

業界別でのファクタリングの利用傾向とその理由

建設業

建設業では、大きなプロジェクトの契約が主となるため、収入が不規則であり、資金調達が難しいことが多いです。また、資材の調達や人件費など初期の出費が大きいです。そのため、売掛金を即時に現金化できるファクタリングは、建設業界で非常に有用となります。

製造業

製造業では、生産サイクルが長く、製品の製造には時間がかかるため、その間に財務状況が厳しくなることがあります。そのため、製造業では売掛金を即日現金化できるファクタリングが頻繁に活用されます。

卸売業

卸売業では、大量の在庫を管理し、販売するまでの期間が長いため、資金繰りが難しいことが多いです。ファクタリングは、売掛金を即時に現金化することで、在庫を管理するための資金を確保するのに役立ちます。

運輸業

運輸業では、車両の保守・メンテナンスや燃料費などの運転資金が常に必要ですが、依頼主からの支払いが遅れることがよくあります。そのため、即日現金化が可能なファクタリングは運輸業界にとって有効な手段となっています。

IT業界

IT業界では、特にスタートアップ企業は、新たなプロジェクトの開発費用や人材採用のための資金が必要です。しかし、初期の段階では利益を上げるのが難しいため、売掛金を現金化することで即時に資金を調達するファクタリングが利用されます。

これらの業界では

資金繰りが特に難しいとされ、売掛金を即日現金化することが
一時的な資金調達の解決策となるため、ファクタリングが積極的に利用されています。

6. ファクタリングを利用する際の注意点

ファクタリングは企業の財務状況を強化するための手段であり、適切に利用すれば現金流の改善や資金調達の助けとなります。しかし、この手法を適切に活用するためには、以下のような点に注意を払うことが重要です。

適切なファクタリング会社の選択

ファクタリング会社は多種多様で、各社の提供するサービスや手数料、取引条件は大きく異なります。自社のニーズに最も適した会社を見つけるためには、各社の評判や契約内容を慎重に比較する必要があります。

契約内容の理解

ファクタリング契約には、ファクタリング手数料や、売掛金の管理・回収に関する責任分担、契約期間、早期解約の際の手続きなど、さまざまな要素が含まれています。

これらの契約条件を理解し、自社の財務状況やビジネスモデルに合致するかを確認することが重要です。また、契約により利用者が負う可能性のあるリスク(例えば、売掛金の未回収リスクが企業に戻ってくる場合など)も明確に理解しておきましょう。

ファクタリングのコストを考慮する

ファクタリングの利用には手数料がかかります。
これは、ファクタリング会社が取引のリスクを負う代わりのもので、売掛金の額に応じた手数料が発生します。この手数料は、他の資金調達方法と比較して高くなる可能性があるため、コストと利益を慎重に比較することが必要です。

適度な利用

ファクタリングはあくまで短期的な資金調達手段の一つであり、過度な利用は企業の財務状況を圧迫するリスクがあります。短期的な現金需要に対応するためには有効な手段ですが、常にその利用のバランスを考え、適度な利用を心掛けるべきです。

7. ファクタリングと他の資金調達方法との比較

ファクタリングは多くの企業が利用する資金調達方法の一つですが、他の方法と比較した場合、どのような特徴があるのでしょうか。

銀行融資

銀行融資は最も一般的な資金調達方法の一つですが、資金調達の対象が一般的には事業全体であるため、具体的な売掛金に対する即時の現金化は難しいです。また、信用情報や担保が必要な場合があります。

エンジェル投資・ベンチャーキャピタル

エンジェル投資やベンチャーキャピタルはスタートアップなどの成長期の企業が資金を調達する方法ですが、これらは一般的にビジネスの成功に対する期待を元に投資が行われ、売掛金のような具体的な資産をベースにした資金調達は難しいです。

リース・レンタル

リースやレンタルは特定の設備や機器の使用に対する資金調達方法で、具体的な資産に基づいた資金調達が可能です。しかし、これは物的資産に限定され、売掛金などの無形資産に対する資金調達は対応できません。

ファクタリングは

これらの他の資金調達方法とは異なり、
売掛金という特定の無形資産を即時に現金化することが可能です。そのため、現金流の改善や短期的な資金調達が必要な場合には有効な手段となります。

8. ファクタリングの今後の展望

ファクタリング業界は近年急速に成長しており、その背景には企業の資金調達ニーズの多様化やデジタル化が進む中での新たなビジネスチャンスがあります。
また、新たな技術の導入により、より効率的で短時間でのファクタリング取引が可能になると期待されています。

しかし、それと同時に、業界の規制や消費者保護、そしてファクタリング業者間の競争激化など、新たな課題も存在します。これらの課題に対応しつつ、業界全体が成長を続けるためには、透明性と信頼性を確保することが求められます。

中小企業庁による売掛債権の利用促進

経済産業省中小企業庁は、中小企業者が不動産担保に過度に依存せずに資金調達ができるよう、「売掛債権担保融資保証制度」を創設し、その普及を進めています。この制度は、売掛債権を担保とした中小企業者の借入について信用保証協会が保証を行うものであり、一種のファクタリングとも言えます。

中小企業庁は、以下のような取り組みを通じて、売掛債権の利用を推奨しています。

風評被害の防止

売掛債権の利用によって資金繰りが厳しいとの風評被害が生じることがあるとの声に対し、中小企業庁は売掛債権の利用促進は国の施策であると明確に述べています。これにより、中小企業者が安心して売掛債権を活用することを奨励しています。

債権譲渡禁止特約の解除

売掛債権の譲渡を禁止する特約が取引契約に存在すると、売掛債権を担保として融資を受けることができません。この問題を解消するため、国や地方公共団体では債権譲渡禁止特約の解除を進めています。これにより、中小企業者は売掛債権をより自由に活用できるようになります。

売掛債権担保融資保証制度の仕組み

売掛債権を担保として金融機関から融資を受ける際に信用保証協会が保証を行います。担保となる売掛債権は、国内の事業者(官公庁を含む)に対する売掛債権で、物品の売掛債権だけでなく、サービスの提供による売掛債権も対象となります。ただし、譲渡が禁止されている売掛債権(債権譲渡禁止特約が取引契約に使用されている場合)は対象外となります。

中小企業庁のこのような取り組みは、売掛債権を活用した資金調達、すなわちファクタリングが日本の中小企業にとって有効な資金調達手段であるという認識を広めることにつながります。これは、ファクタリング業界全体の成長と、日本の中小企業の経営環境改善にとって大きなプラスとなります。

ファクタリングと法規制

ファクタリングは、売掛金の売買を行うビジネスモデルで、法的な根拠に基づいて適切に運営されていれば、違法性はありません。以下に、その詳細について説明します。

ファクタリングの法的根拠

ファクタリングの主な根拠となる法律は、民法第555条(売買)、民法第466条(債権の譲渡性)、民法第467条(債権の譲渡の対抗要件)です。
これらの条文に基づき、債権(売掛金)を譲渡し、現金化することができます。

ファクタリングと貸金業の違い

ファクタリングは、債権(売掛金)の売買を行うものであり、貸金業とは異なります。このため、ファクタリング業者は、貸金業のような特別な登録をせずとも営業することが可能です。

しかし、注意が必要なのは、債権譲渡ではなく「金銭の貸付」を行っている業者が存在する可能性があるということです。これは違法であり、そのような業者を利用することは避けるべきです。

適法なファクタリング業者の選び方

ファクタリング業者を選ぶ際には、その業者が適法に運営されているかどうかを確認することが重要です。それには、業者が債権譲渡を主な事業としているか、または適切な許可を持って金銭貸付を行っているかをチェックする必要があります。

以上が、ファクタリングに関連する主な法規制とその適法性についての解説です。
ファクタリングは売掛金の売買という形で行われ、適切に運営されている限り、法的な問題はありません。しかし、常に法的な知識を持ち、適法な業者を利用することが重要です。違法な業者を利用すると、法的な問題に巻き込まれる可能性がありますので、注意が必要です。

9. まとめ:
ファクタリングとは何か、その本質を理解する

ファクタリングは、売掛金を現金化することで企業の資金調達を支援するサービスです。
その特性から、ファクタリングは特にキャッシュフローの改善や短期的な資金調達が必要な場合におすすめです。

現在、ファクタリング会社は、急速に増えているため、手数料や契約条件などを比較して自分に合ったファクタリング会社選ぶ必要があります。

ファクタリングは資金調達手段の一つであり、企業の資金調達方法としての位置づけや、他の資金調達手段とのバランスを理解することも重要です。ファクタリングを適切に利用し、企業の健全な成長を支援するためには、これらの点を踏まえた理解が必要となります。