ファクタリングの利用後、ファクタリング業者に売掛金の返済ができないと取り立てが行われます。また取引している業者が悪徳業者だった場合、強引な取り立てが行われるかもしれません。
この記事では、一般的なファクタリング業者が、取り立てをするまでの流れと、悪徳業者に遭ったときの相談先について解説します。
ファクタリングの取り立て方法には規制がない
ファクタリングで資金調達をした後は、取引先から入金された売掛金を、ファクタリング業者に返済しなければなりません。仮に回収ができなければ、ファクタリング業者は損失になるため、取り立てが行われることになるでしょう。
消費者金融や信販会社(キャッシングを提供している場合)を規制する貸金業法では、人に脅威を与えたり、人の私生活や業務の平穏を害する言動を用いたりする取り立てを禁止しています。
しかしファクタリングは資金調達方法の一種ですが、金銭消費貸借契約ではなく、債権譲渡契約です。ファクタリングは貸金業法の適用を受けないことから、取り立て方法にも規制がありません。
ただし、最高裁の判例によると、過度な取り立ては違法であり、恐喝罪または、脅迫罪が成立することがあるとされています。そのため一般的なファクタリング業者であれば、悪質な取り立てをすることはありません。
以下、ファクタリング業者における一般的な取り立て手順や、悪質な取り立ての事例を見ていきましょう。
一般的なファクタリング業者の取り立て手順
一般的なファクタリングでは、あらかじめ定めた期限までに、入金された売掛金をファクタリング業者に返済すれば問題ありません。
ファクタリングの返済期日は、基本的に売掛金の入金日~2日以内です。これより遅れると、取り立てが行われる可能性があります。一般的なファクタリング業者の取り立ては、次のような流れで行われます。
1. 取引先に債権譲渡通知を送る
2. 任意に支払いを求める
3. 支払督促や訴訟を起こす
4. 強制執行
各手順について詳しく解説していきます。
取引先に債権譲渡通知を送る
ファクタリング業者に返済ができない理由として、取引先から返済が行われない可能性も考えられます。そこでファクタリング業者は、利用者の取引先に売掛金を支払ったかどうか確認をするのです。
ファクタリング業者が取引先に支払いを確認するときは、債権譲渡通知を取引先に送付して、債権が譲渡されていることを伝えたうえで行います。債権譲渡通知とは、売掛債権が譲渡されたことを債務者に通知する書類のことです。
2社間ファクタリングは、利用者が取引先に知られたくないことを考慮して、債権譲渡通知を留保するのが一般的です。しかし返済が滞れば、債権譲渡通知が取引先に送られるため、ファクタリングの利用が知られてしまいます。
仮に売掛金が取引先から支払われていない場合、ファクタリング業者は取引先に取り立てを行います。しかし取引先からすでに売掛金が支払われているときは、ファクタリング業者は利用者に対して取り立てを行います。
任意に支払いを求める
取引先が支払いをしているにもかかわらず、利用者がファクタリング業者に返済をしていない場合は債務不履行となり、ファクタリング業者は任意で支払いを求めます。
この段階では電話やメール、郵便で支払いを督促するケースが一般的です。場合によっては事務所などに訪問したり、内容証明郵便を使ったりするケースもあります。
支払督促や訴訟を起こす
支払督促とは、売掛金の支払いや債務の返済などに相手が応じないときに、申立人の申立てのみに基づいて簡易裁判所が支払いを命じる手続きのことです。
ファクタリング業者の申し立てに基づいて、簡易裁判所は利用者に支払督促申立書を送付します。
利用者が支払督促申立書を受け取ってから2週間以内に異議申し立てを行わない場合、利用者の資産の差し押さえが可能です。支払督促に対して、異議申し立てがあれば、訴訟手続きに移行することになります。
訴訟では、ファクタリング業者が契約書などの証拠を提示して、訴えが認められると、利用者に支払命令が下されます。判決が出ると、ファクタリング業者はいつでも利用者の差し押さえが可能です。
強制執行
支払督促や訴訟の判決が出ているにもかかわらず利用者が支払いに応じない場合、裁判所が差し押さえや競売により、強制的に利用者の財産を回収し、返済に充当されます。
預貯金などは差し押さえられ、不動産や車などの資産は、競売にかけられてしまう可能性があります。強制執行が行われると事業に必要な財産も失い、自社の社会的信用も大きく失墜してしまうでしょう。
悪徳業者の取り立て方法
一般的なファクタリング業者で利用していれば、法律に則った手順で取り立てが行われます。しかし悪徳業者の場合は、そうはいかないかもしれません。ここでは、悪徳業者の取り立て方法を紹介します。
昼夜問わず何度も電話をかけてくる
悪徳業者と取引をして返済が遅れた場合、昼夜問わず何度も電話をかけてくる場合があります。
仕事中、深夜問わず1日に100件を超える程の電話をかけてくることもあり、
事務所に押しかけてくる
返済が遅れると、悪徳業者は事務所に押しかけてきて、返済するまで帰らない、あるいは大声で騒ぎ立てるなどの迷惑行為を働く可能性があります。
そのような状況を、従業員や近所の人、取引先に見られると、自社の評判を大きく落としてしまうでしょう。
親族への脅迫や、自宅への嫌がらせ
悪徳業者は直接、事業主に返済を迫るとは限りません。業務と関係のない親族に返済を迫ったり、自宅に張り紙をするなどの嫌がらせをしたりすることもあります。
違法なファクタリング業者の取り立てには要注意
ファクタリングは貸金業法が適用されませんが、民法で定められている「自力救済禁止の原則」が適用されます。
「自力救済禁止の原則」とは、権利を侵害された者が司法手続きをせずに、強制的に自身の権利回復をしようとする行為を禁止することです。そのため、悪徳業者が脅迫や嫌がらせをして、債務者から取り立てをすることはできません。
返済をしなかったことについては自身に問題がありますが、その取り立てが強引と感じたら、警察や弁護士といった専門家に早めに相談をしましょう。
注意すべき悪徳業者の見分け方
悪徳業者の見分け方として、まず手数料があります。一般的なファクタリングの手数料は、2%〜18%が相場です。
しかし、ファクタリングは貸金業法による規制を受けないため、手数料も自由に設定できます。そのため、複数社で比較をすることが大切です。極端に高い手数料を設定している場合は、悪徳業者かもしれません。
一般的な手数料を設定していても、契約書が「債権譲渡契約ではなく金銭消費貸借契約になっている」「償還請求権あり(ウィズリコース)の契約」などとなっている場合、利用者にリスクを転嫁する悪徳業者の可能性があります。
契約書の内容に不明点がある場合は、契約前にファクタリング業者に詳細を確認してみましょう。
強引な取り立てを受けたときの相談先は?
先に紹介したような強引な取り立てをされたと感じたときに、相談できる先を紹介します。先延ばしにすると、事業や親族にまで悪影響が拡大する可能性があるため、早めに相談しましょう。
警察
今まさに被害を受けているのであれば、110番ですぐに警察を呼びましょう。緊急性がないものの、強引な取り立てを受けているときは、警察相談専用電話「#9110」に相談をすると、対処法についてアドバイスを受けられます。
最寄りの交番や、警察署の生活安全課に直接訪問をして相談することもできます。
弁護士・司法書士
ファクタリングは商取引が関わることから、民事事件として扱われ、積極的に捜査してくれない可能性があります。
しかし弁護士や司法書士であれば、今行われている取り立て行為が脅迫や威力業務妨害、住居侵入など、違法性があるかどうかを判断してもらえます。
場合によっては助言をもらって、刑事告発をすることも可能です。刑事告発をすることで、警察に取り立ての実態を調査してもらい、処罰を求められる可能性があります。
金融庁の金融サービス利用者相談室
金融庁が運営している金融サービス利用者相談室では、金融サービス全般に関連するトラブルに対し、他機関紹介や論点整理などのアドバイスを行っています。
ウェブサイトや郵送、ファックスなどさまざまな相談方法に応じているため、自身に合った相談方法が選べます。
消費者ホットライン
悪徳商法などによるトラブルについて相談したいときは、消費者ホットライン「#188(いやや)」に連絡すると、最寄りの市区町村や都道府県の消費者センター等の相談窓口を紹介してもらえます。
消費者ホットラインがつながらない場合、国民生活センターの「平日バックアップ相談(03-3446-1623)」も利用できます。
まとめ
ファクタリングの利用者が売掛金をファクタリング業者に返済できないと、取り立てが行われます。一般的なファクタリング業者であれば、取り立ても法律に則った手順で行われますが、悪徳業者だった場合、脅迫や嫌がらせを伴う、強引な取り立てが行われる可能性があります。
悪徳業者と取引をしないために、利用前に複数社を比較し、契約書を隅々まで必ず確認するよう心がけましょう。
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