個人事業者や中小・零細企業は大打撃!? インボイス制度とはいったい何?

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    個人事業者や中小・零細企業は大打撃!? インボイス制度とはいったい何?

    2023年10月から導入されるインボイス制度で難題が降りかかる!?

    2019年10月1日から消費税の引き上げと複数税率の導入が実施されましたが、実はそれに併せて、インボイス制度というものが新たに2023年10月から導入されることが決定しました。この新制度が導入されると、消費税を納める義務のある企業や個人事業主のみならず、これまで免税の対象となってきた事業者にも難題が降りかかると言われています。

    これはどのような制度で、どういったことが問題視されているのでしょうか? ビジネスにも大きな及ぼしうることですので、できるだけわかりやすく説明することにします。

     

    新制度導入で、免税事業者なのに消費税を納める必要が生じる?

    あくまでインボイス制度は通称で、その正式な名称は「適格請求書等保存方式」です。この新制度がスタートすると、消費税を納める必要のある事業者は「適格請求書(インボイス)」の要件を満たした請求書・領収書・納品書・レシートを使用することが求められます。

    そして、インボイスの発行事業者(適格請求書発行事業者)として登録する必要があり、税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出する必要があります。さらに、インボイスを発行した側も受け取った側はどちらも、それを7年間にわたって保存しておく必要が生じます。

    消費税の免税事業者(課税売上高1000万円以下の法人や個人)は必ずしもインボイスの発行事業者として登録する必要はなく、今まで通りの請求書・領収書・納品書・レシートを使用できないわけではありません。しかしながら、詳しくは後述しますが、インボイスとして認められない請求書を受け取った取引先(売掛先)には、税制面で不利益が生じてしまうことも確かです。

    そのため、インボイスを使用していない事業者との取引を敬遠する動きが広がる恐れがあります。取引先との関係を悪化させたくなければ、免税事業者もあえてインボイスの発行事業者として登録し、消費税を納めることを余儀なくされてしまうのです。

     

    インボイスの要件を満たさないと「仕入額控除」を適用できない

    免税事業者まで含め、全面的にインボイスの発行事業者となって同制度の要件を満たした請求書・領収書・納品書・レシートのやりとりを行うことになるのはなぜなのでしょうか? それは、新制度に対応しないと、「仕入税額控除」と呼ばれる税制上の特典を利用できなくなるからです。

    「仕入税額控除」とは、生産、流通などといった各プロセスを経る度に二重、三重で消費税が徴収されることを防ぐための制度です。同控除によって、課税売上高に対して課せられる消費税額から、「課税仕入れ(課税売上から差し引ける仕入額)」にかかった消費税額を差し引くことが可能です。

    インボイスの発行事業者として登録されていない場合、取引先(売掛先)にインボイスを発行できません。インボイスとして認められない請求書を受け取った取引先はその案件において「仕入税額控除」を利用できず、その分だけ納付すべき税額が多くなってしまいます。

    本来、消費税の免税事業者は消費税を納める義務がなく、申告手続きも行う必要がありません。ところが、インボイス制度がスタートしてしまうと、先述したようにインボイスとして認められない請求書を受け取った取引先(売掛先)はその案件に関して「仕入税額控除」を適用できなくなります。

    こうして税負担が大きくなってしまう相手から商品・サービスの提供を受けるのは止めて、インボイスの発行事業者として登録しているところへ乗り換えることを検討する取引先(売掛先)が出てきても不思議はないでしょう。免税事業者に対しても、「インボイスの発行事業者として登録しないのは死活問題」との無言の圧力が働くわけです。

     

    税を徴収する側以外にメリットはなく、巷では批判も続出

    具体的にインボイスの要件を満たす請求書とは、①1.請求書発行者の氏名または又は名称、②取引年月日、③取引内容、④取引金額、⑤請求書受領者の氏名または名称、⑥軽減税率の対象品目である旨、⑦税率ごとに区分して合計した税抜または税込対価の額、⑧税率ごとに区分した消費税額等、⑨請求書発行者の登録番号が記載されたものです。ただし、繰り返しになりますが、これらの要件を満たしていても、インボイスの発行事業者として登録されていなければ、インボイスとして認められません。

    結局、この制度の導入でメリットが得られるのは税を徴収する側で、請求書を発行する側と受け取る側はどちらも煩雑な作業や面倒な管理を求められるだけで、一つも得が得られません。免税事業者に至っては、納める義務のない税金を負担することになり、事業の存続にも影響しかねません。

    こうした問題点に関する批判が相次いでいることから、国は免税事業者に対する救済措置などを検討中ですが、まだ確定したわけではありません。2023年10月の制度導入時からインボイスの発行事業者として認められるためには、2023年3月31日までに申請手続きを行わなければなりません。

     

    まとめ:今後も動向を注視! 導入延期や激減緩和策導入などの可能性も!

    インボイス制度とは、財務省が消費税を着実に徴収するために導入する制度です。インボイスの発行事業者として登録したうえで、インボイスの要件を満たす請求書などをやりとりしていなければ「仕入税額控除」を適用できず、そうなると納税すべき金額が実態よりも多く計算されてしまいます。

    まるで、「それが嫌なら、免税事業者も含めて、きちんとインボイスの発行事業者として登録せよ」とのメッセージが伝わってくるかのような制度です。こうしたことから導入反対を求める声も根強く、実施の延期や緩和策の導入なども考えられますので、今後の動向を注視しておいたほうがいいでしょう。

     

     

     

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